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 ヴルカヌス・イン・ヨーロッパプログラム
 日本人学生対象

澤 光映(さわ みつてる)
ヴルカヌス・イン・ヨーロッパ 2009年度派遣
語学研修:ドイツ語(ドイツ)
企業研修:Panasonic Industrial Devices Europe社(ドイツ)


 大学院の学科の掲示板をふと見た時に、ヴルカヌスの募集要項が目に留まったことが始まりでした。就職活動のきっかけとしてインターンシップをしようと漠然と考えていた頃、1年という長期間海外に滞在し、企業で働くことは、関西圏でしか暮らしたことのない自分にとって、今までにない全く新しいことができると感じ、応募しました。ヴルカヌスで得た経験は、自分にとって非常に大きく、現在のキャリアにも繋がっています。

 プログラム最初の4ヶ月間は、ドイツ・ベルリンの語学学校でドイツ語の研修を受けました。授業は初心者向けですが、ドイツ語で進行。通学中の道路標識や人々の会話、スーパーの商品、あらゆるものがドイツ語で、自分は外国に住んでいると改めて実感しました。また、日々暮らす中で、彼らの文化や習慣を少しずつでも知ることが新鮮で、困難なことも多々ありましたが、自分自身や今後の目標について、じっくり考えることのできる貴重な時間でもありました。

 その後、企業研修のため、リューネブルクという小さな町で暮らし、小型無線デバイスを研究開発している部署で研修を行いました。そこでは上司の他に、同時期に研修生として来ていた学生と一緒に仕事をすることが多く、電子基板の設計や、新しい無線デバイスのデモに使用する画像認識プログラムの開発をしました。印象的なことの一つに、日本から出張でこられた社員の方のプロジェクトに参加できる機会があり、現場での交渉や実験、計測の補助、現地の案内を行いました。収集したデータが製品開発に役立っているよと、後に社員の方が日本から伝えて下さり、日独双方に渡って関わりがもて、ヴルカヌスの目的の一つでもある、日本と欧州の架け橋になることが微力でもできたのかなと思い、嬉しかったです。

 帰国後、世界中の人々と関われるようなものづくりをしたいと思うようになり、その場所としてインターネットに魅力を感じ、e-commerceを主軸とした企業に就職しました。そこでは海外向けe-commerce platformの開発やパリに駐在し、フランス向けのスマートフォンアプリケーション開発といった国際関連のプロジェクトに携わっています。誰でも自由に使えるオープンソースのプロジェクトに関わることで、様々な開発者とやりとりでき、自分の小さな変更が与える影響の大きさに、楽しさとやりがいを感じています。

 最後に、家族や日欧産業協力センターの方々、ヴルカヌスの同期、ホストファミリー、語学学校の先生や生徒、研修企業の上司や同僚、地元のミュージシャン、プログラムを通じて出会ったすべての人に感謝しています。一人では本当に何も出来なかったであろうし、何より人と人との繋がりの大切さ、自分の思いを伝えることの重要さを学びました。ヴルカヌスは一人一人が全く異なる経験をする大変ユニークなプログラムです。日本とは全く異なる環境から得られるものは貴重で、視野を広げたり、将来を考えるきっかけが私には多くありました。今後も多くの学生が参加し、欧州の土を踏み、自分にしかできない経験をしてほしいと思います。

(2016年 執筆)

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