脱炭素化分野の日欧産業協力成功事例
日EUの企業や公的機関は、再生可能エネルギー、クリーン水素、エネルギー効率、持続可能な都市、低炭素モビリティなどの分野で、温室効果ガス排出量の削減に貢献するパートナーシップを発展させています。
これらのプロジェクトは、日EUの最高の技術、専門知識、ノウハウを結集しております。日本、ヨーロッパ、他の地域で実施され、世界をカーボンニュートラルへの道に導き、革新、経済成長および脱炭素化に貢献します。 近年設立された新興企業、国際的な足跡を築く中小企業、そして老舗の大企業なども参画しています。
ここでは、気候分野での、刺激的で有望な日欧パートナーシップの成功事例を例示したいと思います。
電動バス事業 | カエタノ・バス X 三井物産株式会社
2017年12月、三井物産株式会社(以下三井物産)はポルトガルNO.1のバス製造会社CaetanoBus社(以下カエタノ)に出資参画しました。両社は共に、電気バス事業を世界的に広げることで、EVを起点に、これからのより環境にやさしく、より便利で、より快適な暮らしや街づくりを支えていくというビジョンを持っています。
水上太陽光発電 | Ciel & Terre(シエル・テール) 社 X みんな電力株式会社
2018年、水上太陽光発電技術で欧州をリードしている”Ciel & Terre (シエル・テール)社”と、日本の再生可能エネルギー電力事業会社である”みんな電力株式会社”が提携しました。両社が兵庫県南あわじ市の農業用溜池に水上太陽光発電所を設置し、地元農家を経済的に支援しつつ、再生可能エネルギー電力を生産・販売したプロジェクトについてご紹介します。
水素ボート船舶|CMB×常石グループ
ベルギーの大手総合海運会社CMB(Compagnie Maritime Belge)は、日本の海運・造船会社の常石グループと、2019年より様々な共同事業を立ち上げています。両社は日本市場に向けた水素燃料船舶を共に開発しており、世界初の80人乗りの水素燃料フェリーに続き、2021年には更なるプロジェクトを展開する上で合弁会社を設立すると発表しました。
再生可能エネルギー促進機関 | 福島県 X ノルトライン=ヴェストファーレン州(ドイツ)
福島県とドイツのノルトライン=ヴェストファーレン州(NRW州)は、2013年以来、再生可能エネルギーやエネルギーの効率利用など、地域のエネルギー移行に関するベストプラクティスを共有しています。2017年には、さらに協力関係を深め、専門家、地元企業、クラスター、研究機関を含めた産業的側面を強化するために、双方のエネルギー機関により連携覚書が締結され、企業間のマッチング支援、二国間のワーキンググループ、展示会への出展等を行っています。
水素タクシー|Hype x Air Liquide x Idex xトヨタ自動車
フランスの水素タクシー会社「Hype」、工業用ガス供給会社「Air Liquide」、エネルギー供給会社「Idex」の3社は、2019年にトヨタ自動車と共同で、モビリティの状況に変化をもたらすことを目的とした合弁会社「HysetCo」を設立しました。彼らは共に、世界最多の水素タクシーをパリに配備する予定です。
日本における太陽光発電所開発 | Juwi × 自然電力株式会社
福島の原子力事故から2年後の2013年に設立された日本の再生可能エネルギー開発・供給企業である自然電力株式会社は、1996年に風力および太陽光発電所の建設を開始したドイツのリーダーであるjuwiとの合弁企業を設立しました。日本国内では70の再生可能エネルギー計画があり、そのモデルを日本の地理的条件と現地市場の進化に適応させて、ますます野心的なプロジェクトに取り組んでいます。
オンデマンド公共交通|SHOTL X 小田急電鉄株式会社
日本の大手公共交通機関である小田急電鉄は、2019年にスペインのモビリティ新興企業Shotlとのパートナーシップを確立しました。 自家用車使用削減により温室効果ガスと大気汚染物質の排出削減を目標に、神奈川県で新しいオンデマンド輸送サービスを試験運用しています。
洋上風力発電所| 鹿島建設株式会社×シフ
日本最大の建設会社の1つである鹿島建設は、日本初の商業規模の洋上風力発電プロジェクトである秋田能代洋上風力発電所のモノパイル基礎を提供するべく、オランダのメーカーSifを選択しました。 これは、Sifにとっても日本初の契約となり、鹿島にとっても初の主要洋上風力発電プロジェクトでもあります。 13万世帯へのエネルギーを供給する風力発電所は、2022年に操業開始予定です。
洋上風力タービン | 三菱重工×べスタス
デンマークの風力タービン製造のリーダーであるVestasWind Systemsと、世界的な製造・エンジニアリング会社である三菱重工業株式会社 (三菱重工)は、2014年に洋上風力発電業界のリーディングプレイヤーになることを目的とし合弁会社MHI Vestasを設立しました。 MHI Vestasは現在3000人以上を雇用、欧州各国で洋上風力タービンを運転する他、アジアでも初の受注を成し遂げました。 2020年後半、パートナーシップは風力発電とグリーン水素の分野で新たな発展を見せています。
産業界のエネルギー効率化 |メトロン×NTTファシリティーズ
産業施設のエネルギーコストと二酸化炭素排出量を削減するために設立されたフランスの新興企業であるMETRON-EVA FACTORYは2019年、日本の主要通信事業者であるNTTグループのNTTドコモベンチャーズの出資を受けました。NTTドコモベンチャーズの出資を受けたことにより、METRONはNTTファシリティーズと提携、人工知能やビックデータを使用した日本における産業のエネルギー効率改善に向けて協力連携することを目指しています。
水素製鉄所| フェストアルピーネ×三菱重工業株式会社
鉄鋼業界の脱炭素化は、2050年までにカーボンニュートラルを達成するための鍵となるでしょう。世界の化石燃料のCO2排出量のうち、鉄鋼が7〜9%を占めています。水素は、製鋼のエネルギー源として、石炭の代替物としてますます期待されています。
三菱重工の子会社であるプリメタル・テクノロジーズは、オーストリアの鉄鋼ベースのテクノロジー企業であるフェストアルピーネと提携し、水素を燃料とする鉄鋼生産プラントをオーストリアに建設しています。
太陽エネルギー | BayWa r.e. X D&Dソーラー
ドイツの世界有数の再生可能エネルギー企業であるBayWa r.e.グループは今年、鹿児島県(南西日本)にソーラーパークの建設を無事に完了しました。 この再生可能エネルギー施設は、大阪ガスと日本政策投資銀行が共同出資で設立した新しい合同会社であるD&DソーラーGKが取得しました。 このように過去10年間で、日本のエネルギー転換の促進のため、より多くの欧州企業が再生可能エネルギー開発の専門知識を共有してきました。
グリーンイノベーションに向けた公共政策| アデム × 新エネルギー・産業技術総合開発機構 (NEDO)
2021年、フランスのエージェンシーであるアデム(ADEME)と日本のカウンターパートである新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、エネルギーと環境の研究開発政策の分野で連携し30周年を迎えます。 両者は定期的に合同セミナーを開催し、両国の企業や研究機関の代表者を集めて、クリーン水素、再生可能エネルギー、循環経済、スマートシティなどのトピックを取り上げています。